ピーテル・パウル・ルーベンス「画家とその妻、イザベラ・ブラント」(1610年)
Pieter Paul Rubens"Self-portrait with Isabella Brant"
ミュンヘン、アルテ・ピナコテーク

ルーベンス自身の新婚の肖像。画家32歳、妻18歳である。

こう言うと年寄りくさいのだが、この絵を見ていると愛っていいなあと思う。さりげなく添えられた手がなんとも言えずいい。二人のポーズが描く円や腕の緩やかなカーブが落ち着きを演出している。
立派に着飾りながらも気取りのないところがまたいい。そして若さ。ここには未来への希望があふれている。この二人ならどんな困難も乗り越えていけそうだ。たとえ心の行き違いがあったとしても、この絵を見ればすんなり打ち解けあえるのではないかという気がする。

背景のスイカズラは花言葉で「長いほどよい」、つまり幸福な結婚を暗示するものだそうだ(「小学館発行、週刊美術館11「ベラスケス・ルーベンス」より)。幸福感におぼれることなくきっちり構図を仕上げるあたりも見事。
この春結婚した友人に祝福の心を込めて、この絵を捧げたい。

"Self-portrait with Isabella Brant",
oil on canvas,174×132cm
Alte Pinakothek, Munich.

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