雨が上がり、射し込む日が虹をつくっている。去りつつある暗雲の向こうには青空がのぞいている。
農民を描いたミレー(1814〜1875年)にしては珍しい風景画・・・と思いきや、そこにはしっかりと人間の営みが刻まれている。目の前の道をたどると人の姿がある。また風景は自然そのものではなく、人の手によって耕された畑だ。光が照らしているのも、画中の人物がこれから作業すると思われる場所だ。
天からの光は神の祝福であるとともに、ミレーのそれでもあるのだろう。
照る日もあれば曇る日もある、嵐も来るかもしれない。絵を見ている私も豊かな実りを祈らずにはいられない。人生の応援歌のような絵にも思えた。
"Spring"
1868-1873, oil on canvas,111x83cm
Musee d'Orsay at Paris.